【花をいける】は「生ける、活ける」どちらが正解?華道(かどう)は花道でない理由もおもしろい

花コラム

花をいけるとき、「生ける」と「活ける」のどちらが正しいか?

日本語には同じ読み方でも意味が異なる言葉がたくさんありますよね。

特に、華道に関わる言葉は日本の美意識や伝統に深く根ざしていて、「生け花」と「活け花」にも、それぞれ違った意味が込められています。

この違いを知ると、花のいけ方だけでなく、華道の本質や日本独自の美しさにも触れることができるでしょう。

この記事では、生け花と活け花の違いや、なぜ華道が「花道」ではなく「華道」と呼ばれるのか、詳しく解説していきます。

「生ける 活ける」とかけまして
「その違い」ととく

その心は?

それぞれの美に込められた「道」があります

う~んイマイチ

  • 花を「生ける」と「活ける」の使い方や意味の違い
  • 生け花と活け花が表現する美意識の違い
  • 華道が「花道」でなく「華道」と呼ばれる理由
  • 生け花と活け花が持つ日本の伝統や文化的背景
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「生ける」と「活ける」の違い

「花を生ける」と「花を活ける」の違い

「生ける」と「活ける」は、どちらも「いける」と読みますが、実際の意味には微妙な違いがあります。

それぞれの意味を理解しておくと、花を飾るときに自分の気持ちをより深く表現できるかもしれません。

「花を生ける」

「生ける」という表現には、「花を生かす」という意味が含まれています。

例えば、庭で咲いている一本の桜の枝を切り取って部屋に飾るとしましょう。

この桜の枝を花瓶にいけるとき、ただ花瓶に差し込むだけではなく、桜が持つ自然の美しさを最大限に引き出すことを意識します。

枝の向きや傾き、花の重なりなど、全てが桜の魅力を伝えるように整えられるのです。

これが「花を生ける」の基本的な考え方であり、特に日本の伝統的な生け花の技法で重視されます。

 

また、華道の「池坊」流派や「草月流」などで学ぶ生け花の技術には、「花そのものが生きているように見える配置」を大切にします。

例えば、池坊では、自然の風景を花器(かき)に表現することを目指し、季節や場所によって使う花や枝の選び方が異なります。

これにより、花をただの「飾り」ではなく、自然の中で生きる姿そのものとして捉えるのです。

「花を活ける」 

一方で「活ける」「生命を持たせる」「活かす」という意味があります。

この「活ける」は花そのものだけではなく、空間全体に命を吹き込むような意味が強いのです。

たとえば、現代のフラワーアレンジメントで豪華に花を飾るときに、この「活ける」という表現を使います。

部屋全体の雰囲気やテーマに合わせて、色や大きさを選び、空間を明るく華やかにするのが目的です。

 

具体的な例として、結婚式のフラワーアレンジメントを考えてみましょう。

結婚式の会場に飾る花は、式場や新郎新婦の希望に合わせて選ばれ、空間に新たな生命をもたらす役割を持っています。

このとき使われる花は「活ける」という言葉がぴったりです。

花の色や配置が、祝福の場にふさわしい華やかさを添え、会場全体を明るくするのです。

「花を生ける」と「花を活ける」英語では?

「花を生ける」と「花を活ける」はそれぞれ少し違うニュアンスを持つため、英語では次のように表現できます。

「花を生ける」

Arrange flowers to reveal their natural beauty.

花の自然な美しさを引き出すように花を生ける。

「花を活ける」

Bring life into a space with flowers.

花を使って空間に命を吹き込む。

どちらも「いける」ことを通して花の魅力を生かすという意味ですが

  • 「生ける」は花そのものの美しさを引き出すことに焦点がある
  • 「活ける」は空間全体を活かす役割を持っている

ということです。

「生け花」と「活け花」の違い

少し繰り返しになりますが、「生け花」と「活け花」も同じ読み方ですが、意味には少し違いがあります。

「生け花」

「生け花」日本の伝統的な花のいけ方を指します。

華道(かどう)と呼ばれることも多く、自然を尊重しながら、季節や場面に応じた美しさを表現するものです。

生け花には「池坊」「草月」「小原流」などさまざまな流派があり、それぞれに異なる技術やスタイルがあります。

生け花では「自然を再現する」という点が重視され、花の生命や美しさがそのまま引き出されるようにいけるのが特徴です。

 

たとえば、春に咲く梅や秋に美しい紅葉を用いて季節感を大切にすることで、日本の四季の移ろいが感じられるように仕上げるのが生け花の基本です。

また、一本の枝の向きや高さ、配置が意味を持ち、見る人の心に静かな美しさを届けることが目的となります。

「活け花」

「活け花」は、幅広く使われる言葉で、現代のフラワーアレンジメントや花の飾り方全般を指します。

生け花のような伝統的な日本の技法だけでなく、西洋のアレンジスタイルやモダンな花のデザインも含まれます。

たとえば、カフェやレストランの入り口に飾られている華やかな花束や、ホテルのロビーに置かれた豪華な花の装飾は「活け花」として扱われます。

華道(かどう)が花道でない理由は?

華道が「華」を使うのには、日本の伝統文化における「華」と「花」の意味の違いが関係しています。

華道は「花を生ける技術」だけでなく、美しさや奥深さ、精神性を重視する日本独特の芸術として発展してきたため、単に「花道」とは異なる意味が込められているのです。

「花」と「華」の意味の違い

「花」は、植物の花そのものや、自然に咲く美しい姿を指します。

自然の中で咲く花々を表す言葉であり、純粋に花そのものを意味します。

 

「華」は、華やかさや美しさ、上品さを表現する字で、広義には「気品」や「精神性」を含む表現でもあります。

花のように美しいものや、人々の心を華やかにするものを指すことが多く、「華やかな」「高尚な」といったニュアンスを伴うことが特徴です。

「華」を使う理由

華道においては、花をただ生けるだけでなく、空間の中で美しさを引き出し、見る人に精神的な豊かさや和みをもたらすことが重要視されています。

単なる「花を生ける技術」ではなく、美意識や精神性を含む芸術としての側面が大切にされています。

このため、華道では「花」ではなく、「華」という文字が選ばれているのです。

「華道」は他の日本文化と同じ感覚を持つ

華道は茶道や書道と並ぶ「道」の一つとされ、人生の道や修練としての意味合いもあります。

単に「花をいける技術」というだけでなく、自己修養や内面の成長を重視し、花を通して心を磨くという考え方が大切にされています。

こうした「道」の文化には、日本独特の奥深い美意識が含まれています。

「花言葉」と「華言葉」の違い

「花言葉」と「華言葉」も、花や美しいものを表す言葉ですが、それぞれ意味が異なります。

「花言葉」

「花言葉」は、花が持つ意味や象徴を指します。

たとえば、バラの赤は「愛」や「情熱」、ひまわりは「憧れ」や「元気」を表します。

これらの花言葉は、日本だけでなく西洋でも使われていて、贈り物として花を選ぶときに考慮されます。

例えば、大切な人へのプレゼントにチューリップを選ぶとき、その花言葉が「思いやり」だと知っていれば、贈る気持ちもより深まります。

「華言葉」

「華言葉」は普段あまり使われませんが、もし使うとしたら「美しいものをたたえる言葉」という意味が近いでしょう。

例えば、美しい和服姿を見て「華言葉で表現したい」という場合、華やかさや美しさそのものに対する褒め言葉として使われます。

「華言葉」は「花言葉」に比べて感覚的な言葉であり、具体的な意味というよりも「華やかなものを言葉で称賛する」といったニュアンスを持っています。

生花、活花の読み方

「生花」(しょうか・せいか)、「活花」(かっぱな)は、どちらも華道において重要な概念であり、それぞれ異なる意味や技法を持っています。

以下に、読み方と意味、具体的な特徴について詳しく説明します。

「生花」(しょうか・せいか)

「生花」は、日本の伝統的な花のいけ方で、特に華道の世界では「しょうか」と読むことが一般的です。

「生花」は、花の姿や形だけでなく、その存在や意味をも生かすいけ方であり、日本の美意識が凝縮されています。

華道の流派によって異なる特徴や技法があり、流派ごとの様式が大切にされます。

型の重視:

生花には厳格な型やルールがあります。花材の配置、長さ、角度などが決まっていて、伝統的な美しさを守りながらいけられます。

主枝・副枝・控え枝の構成:

多くの場合、一本の主枝(しゅし)、副枝(ふくし)、控え枝(ひかえし)を基本構成とし、それぞれの枝が意味を持っています。

主枝は「天」を表し、副枝は「地」、控え枝は「人」を表すなど、自然と人間との調和を象徴する構成です。

季節感の表現:

生花は季節ごとの自然をそのまま表現することを大切にしており、四季折々の草花を使います。

春には梅や桜、夏には涼やかな水辺の花など、季節感が重視されます。

静かな美しさ:

生花は、華やかさよりも静けさや簡素さを重んじる日本独特の美意識を表現するため、控えめで落ち着いた雰囲気が特徴です。

少ない花材で自然を再現し、見る人の心に安らぎや清らかさを届けます。

「活花」(かっぱな)

「活花」は、花を「活かす」ことを重視した技法で、花そのものの美しさや生命力を強調していけるスタイルです。

華道の歴史の中で、特に江戸時代以降に発展し、「型にはまらず自然体で花の美しさを引き出す」という考え方が取り入れられました。

「かっぱな」と読むことで、花をただ配置するのではなく、その存在感を活かして生けることが強調されます。

自然の再現:

花や植物が自然の中でどのように存在しているかを意識して生けます。庭や野山に咲く花の風景をそのまま再現するような、生き生きとした表現が特徴です。

自由なスタイル:

活花は型にとらわれない自由な構成が可能で、花そのものの姿勢や表情を重視していけられます。たとえば、野草をそのままの形で野生的に配置することもあります。

生命力の強調:

生命力や活気が感じられるように、枝や花が空間に伸びやかに広がる配置が好まれます。活花を通して、植物の持つ「生きる力」や「自然の強さ」が伝わるように工夫されています。

 

生け花と活け花の違いとは?日本の花文化の魅力に迫る

記事のポイントをまとめます。

  • 生け花は日本の伝統的な花のいけ方で、型や規律が重視される
  • 活け花は花や空間全体に生命力を吹き込むアレンジ技法である
  • 生け花は「自然の美しさを表現する」ことを目的とする
  • 活け花は現代的なフラワーアレンジメントの意味合いも含む
  • 生け花には池坊や草月流など流派ごとに独自の技法がある
  • 活け花は型にとらわれず、自由なスタイルが可能である
  • 生け花は静けさや控えめな美しさを表現する
  • 活け花は華やかさや空間全体の雰囲気を重視する
  • 生け花は季節ごとの草花で日本の四季を再現する
  • 活け花はテーマや空間に合わせて花の色や配置を調整する
  • 生け花では主枝・副枝・控え枝の構成が基本となる
  • 活け花は花の生命力や自然の強さを伝える配置が多い
  • 生け花には「花が生きるように見える配置」が求められる
  • 活け花は現代の結婚式や店舗装飾などにも適用される
  • 生け花は日本の精神性や伝統美が重んじられている