菊は日本でとても大切にされている花で、皇族の象徴としても使われています。
また、日本の国花とされていて、パスポートにもデザインされているほど、日本の伝統に深く関わっています。
しかし、菊は葬式やお墓参りでよく使われるため、「怖い」と感じる人もいます。
菊には「高貴」「誠実」「優美」といった花言葉がありますが、そのイメージは日本や外国の文化によって変わります。
また、日本の有名な怪談の話も、菊に少し怖いイメージを加えているのかもしれません。
この記事では、菊がどうして「怖い」と感じられるのか、その花言葉や文化的な背景についてわかりやすく説明していきます。
「菊」とかけまして「高貴」ととく
その心は
どちらも「その姿に品があります」
う~んイマイチ
- 菊の花言葉に込められた本当の意味
- 日本や海外で異なる菊の文化的な捉え方
- 菊と日本の皇族・伝統との関係性
- 怪談話による菊の怖いイメージの背景
菊の花言葉が怖い
菊とは
菊(きく)は、日本ではとても親しまれている植物で、特に「秋を代表する花」として知られています。
菊という名前の由来は、古くから「千の花びらを持つ花」として、さまざまな形の花を咲かせることから「きく」という響きが生まれたと考えられています。
平安時代にはすでに「重陽の節句」という菊の節句があり、菊の花を愛でる文化がありました。
そして、長寿や不老長寿の象とされてきました。
外国では、菊は「Chrysanthemum(クリサンセマム)」という名前で知られています。
この名前は、ギリシャ語で「黄金の花」を意味する「chrysos(クリュソス)」と「anthemon(アンテモン)」が由来です。
もともと菊は黄色い花が多かったため、こうした名前がつけられました。
現在では、白や赤、紫などさまざまな色の菊がありますが、古代のヨーロッパでは、特に黄色い菊が愛されていました。
菊の花言葉が怖い?
菊の花言葉が「怖い」と言われる理由には、文化的な背景が関係しているかもしれません。
菊が与える印象(日本)
菊の花言葉には「哀悼」や「追悼」という意味があります。
特に日本では、白い菊が葬儀やお墓参りでよく使われることから、「死」や「別れ」を象徴する花とされています。
こうした悲しみや別れを意味する花言葉を持っているため、菊にはどこか「怖い」「寂しい」といった印象がつきまといます。
花そのものが怖いわけではありませんが、悲しい場面でよく見かけるため、自然と怖いイメージを抱く人がいるのです。
菊が与える印象(海外)
フランスやイタリア、スペインなどのヨーロッパ諸国でも、菊が特に「亡くなった人を偲ぶ花」として使われます。
これらの国々では、毎年11月1日の「万聖節(諸聖人の日)」にお墓参りをする習慣があり、家族や友人が亡くなった人のお墓に菊を供えます。
特に白や紫の菊が多く用いられ、菊は「死者への追悼」の象徴として親しまれています。
一方、アメリカやイギリスでは、菊は必ずしも「死」や「追悼」のイメージを持たず、むしろ「家庭や日常で楽しむ花」として親しまれています。
アメリカでは秋の装飾に使われたり、イギリスでも庭で育てる花として広く人気があります。
そのため、これらの国々では、菊は「死」を連想させる花ではなく、一般的な観賞用の花とされています。
菊が持つ花言葉の意味や外観、そして文化的な背景が重なり合い、菊に対して「怖い」と感じる人がいるのです。
番町皿屋敷の「お菊さん」
怪談話にでてくる「お菊さん」知っていますか?
四谷怪談にでてくる「お岩さん」は有名ですが、こちらも怖いですよ。こんなお話。
むかしむかし、江戸の町に、美しくて誠実なお菊という女性がいました。彼女は、青山播磨(あおやまはりま)という武士の屋敷に仕え、真心をこめて仕事に励んでいました。お菊の美しさと誠実さは誰もが認めるほどで、その清らかさは、まるで秋に咲く菊のようだと噂されていたのです。
ある日、青山播磨はお菊に恋心を抱きますが、お菊は播磨の気持ちに応えることができませんでした。それを知った播磨は怒り、お菊を懲らしめようと恐ろしい罠を仕掛けます。屋敷にとって大切な10枚のお皿のひとつを隠し、お菊が「お皿を失くした」という濡れ衣を着せたのです。
「お菊、お前が大切なお皿を失くしたなら、ただでは済まぬぞ」
お菊は必死にお皿を探しましたが、見つかりませんでした。自分が失くしていないことを訴えましたが、青山播磨は聞き入れてくれません。そして、無実であるにもかかわらず、お菊は井戸に投げ込まれて命を落としてしまったのです。
それからしばらくして、お菊の無念の魂は井戸から現れるようになります。夜な夜な「1枚、2枚…9枚」とお皿を数え、10枚目が見つからないことを嘆くお菊の声が聞こえてきました。その悲しい声を耳にした人々は、お菊の誠実さと清らかさを思い出し、彼女の魂を慰めるためにお供えをするようになりました。
その時、誰かが秋に咲く一輪の菊の花をお供えしました。「菊」は、「真実」や「誠実」、そして「哀悼」の花言葉を持ちます。この花は、お菊の心の清らかさを映し出し、彼女の無念さと哀しみを慰めるために捧げられたのです。やがて、井戸からお菊の悲しい声は聞こえなくなりました。人々は、菊の花が彼女の魂を鎮め、そっと包み込んでくれたのだと信じたのです。
それ以来、人々は菊の花を見るたびに、お菊の悲しみと誠実さ、そしてその無念さを思い出すようになりました。菊の花は彼女の心の象徴として、人々の間で大切にされ続け、今もなお「誠実」と「哀悼」を表す花として愛されています。
もしかすると、これも「菊の花言葉は怖い」につながっているのかも??
菊の花言葉は怖くない
菊の色別花言葉
菊の花言葉は、色ごとにさまざまな意味があり、それぞれが特別な想いを表現しています。
色の違いによって異なるメッセージが込められているため、贈る相手や場面に合わせて花を選ぶのも素敵な楽しみ方です。
白い菊の花言葉
白い菊には「真実」「誠実」「哀悼」などの花言葉があります。
白は純粋さや清らかさを象徴する色であるため、「真実」や「誠実」といった意味がつけられました。
また、日本では特に白い菊が葬儀や法要で使われるため、「哀悼」や「追悼」といった意味も持つようになりました。
黄色い菊の花言葉
黄色い菊には「高貴」「友情」「軽蔑」などの花言葉があります。
黄色は太陽や黄金の象徴で、古くから高貴な色とされてきたことから「高貴」という意味が生まれました。
また、友情を表す理由としては、黄色が明るく温かい色合いで、人々を和やかにさせるためです。
ただし、ヨーロッパでは、黄色の花が「愛を軽んじる」などの意味を持つこともあり、そこから「軽蔑」の意味も加わったと考えられています。
赤い菊の花言葉
赤い菊には「愛」「真実の愛」「情熱」といった花言葉があります。
赤は情熱や愛情を表す色として知られており、菊も赤く染まることで「真実の愛」や「情熱」を象徴するようになりました。
この花言葉は、愛する人への深い思いを表現するために使われることが多いです。
紫の菊の花言葉
紫の菊には「高貴」「品位」「気品」などの花言葉があります。
紫は昔から貴族や皇族に愛され、上品で気品のある色とされてきました。
そのため、紫の菊には「高貴」や「気品」といった花言葉がつけられました。
特に、皇室の象徴である菊の花が紫だと、その品格が一層強調されるため、この意味が根付いたのです。
ピンクの菊の花言葉
ピンクの菊には「優美」「上品」「恋の告白」という花言葉があります。
ピンクは穏やかでやさしい印象の色で、愛ややさしさを表現することから、「優美」や「上品」という意味が生まれました。
また、淡いピンク色は恋心を連想させることから、「恋の告白」の意味も込められています。
青い菊の花言葉
青い菊は自然には存在せず、人工的に作られたものです。
そのため、「神秘」「夢」「不可能」という花言葉がつけられました。
青い花は自然界に少ないことから、青い菊は特に「神秘」や「夢」の象徴とされています。
また、「不可能」という花言葉も、自然では存在しなかったことに由来しています。
菊の豆知識
菊のあまり知られていない面白い情報もあります。
菊は食べることができる
実は菊の花は食べることができるのです。
特に「食用菊」と呼ばれる品種があり、刺身のつまとして添えられることがあります。
あれは飾りだけじゃないんです。
食用菊はほんのり苦味があり、さっぱりとした風味で、日本では昔から秋の味覚として楽しまれています。
また、ビタミンやミネラルが豊富で、健康にも良いとされています。
菊には100種類以上の香りがある
菊の花には、種類によってさまざまな香りがあるとされています。
日本には多くの菊の品種があり、香りの強さや種類もさまざまです。
一般的な菊の香りは落ち着いた香りが多いですが、甘い香りや少しスパイシーな香りのものもあり、品種ごとに個性豊かな香りを楽しむことができます。
菊は虫よけ効果がある
菊には「ピレスロイド」と呼ばれる成分が含まれており、これは虫よけの効果があります。
そのため、菊の花や葉を乾燥させて虫よけに使うことができます。
みんなが知ってる除虫菊。蚊取り線香ですね。
実際に、菊の成分を利用した天然の殺虫剤もあります。昔から菊は、虫よけとしても人々に利用されてきました。
古代中国では不老長寿の象徴だった
菊はもともと中国から伝わった花で、古代中国では「不老長寿」を象徴する花とされていました。
菊の花には長寿の力があると信じられ、薬草としても使われていたのです。
日本でも平安時代以降、長寿や健康を願う行事「重陽の節句」で菊が飾られるようになり、長く親しまれてきました。
菊の花言葉には「怖い」意味が含まれる理由と背景
この記事のポイントをまとめます。
- 菊は皇室の紋章として日本の伝統を象徴する花とされる
- 日本のパスポートにも菊のデザインが用いられている
- 菊の花言葉には「哀悼」や「追悼」が含まれ、死や別れを象徴する
- 日本では白い菊が葬儀で使われるため「怖い」印象がある
- ヨーロッパでも菊は「亡くなった人を偲ぶ花」として使われる
- フランスやイタリアでは万聖節に菊をお墓に供える習慣がある
- 一方アメリカやイギリスでは菊は家庭用の観賞花として親しまれる
- 日本の怪談「番町皿屋敷」のお菊さんが菊のイメージに影響を与える
- 菊には「真実」「誠実」「哀悼」など色別の花言葉が存在する
- 白い菊は「哀悼」、黄色い菊は「高貴」、赤い菊は「愛」を表す
- 青い菊は「神秘」「不可能」など人工的な花としての意味を持つ
- ピンクの菊は「優美」「恋の告白」など愛情を象徴する
- 菊は食用としても使われ、健康に良い成分を含む
- 菊には虫よけ成分があり、昔から利用されてきた
- 中国では菊が不老長寿の象徴として親しまれていた