スノードロップは、寒い冬の終わりに雪をかき分けて咲く小さな白い花です。
和名は「待雪草(まつゆきそう)」。
冬の終わりに雪をかき分けて顔を出すその姿に由来していて、この寒い時期に咲く姿は、春を待ち望む人々の心に希望を与えてくれる存在です。
厳しい寒さの中で花開くその姿から、「希望」や「慰め」の象徴とされる一方で、実は少し不気味なイメージを持つ花でもあります。
花言葉に「慰霊」や「あなたの死を望みます」といったネガティブな意味が含まれているって知っていましたか?
本記事では、スノードロップの怖いイメージとその裏にある魅力を解説します。
「スノードロップ」とかけまして
「希望」ととく
その心は?
どちらも小さくても確かに存在します
う~んイマイチ
- スノードロップの花言葉に「慰霊」や「死の象徴」が含まれる理由
- スノードロップがヴィクトリア時代に不吉とされた背景
- 希望や慰めなど、スノードロップのポジティブな花言葉の由来
- スノードロップにまつわる伝説や興味深い特徴
スノードロップの花言葉が怖い
スノードロップとは
スノードロップは、早春にまだ寒さが残る時期に、雪の中から真っ白な花を咲かせる小さくて繊細な花です。
花が咲く時期は1月から3月の間で、特に2月の初め頃、冬の終わりから春の訪れを感じさせてくれます。
学名は「Galanthus(ガランサス)」。
これはギリシャ語で「ミルクの花」という意味で、白くて優しい花の色を表現しています。
キリスト教の創造神話では、エデンの園を追放されたアダムとイブに、天使が雪からスノードロップを生み出し、希望を象徴する花として渡したと言われています。
この伝説から、スノードロップは冬の後に咲く希望の象徴とされています。
名前の由来は、Snow(雪)、Drop(しずく)ではありません!
正解は後半で。
スノードロップの花言葉が怖い理由
スノードロップは「春の使者」として希望や再生の象徴でもあります。
冬の厳しい寒さの中、最初に咲く花として、暖かい季節が近づいていることを告げるものとされています。
そんなスノードロップがなぜ怖いと言われるのか・・
花言葉「慰霊」「あなたの死を望みます」
イギリスでは、スノードロップは墓地に植えられることが多かったため、亡くなった人々への慰めや哀悼の意味が込められたと言われています。
そのためか、「死の前兆」としてのイメージがついてしまったそうです。
ヴィクトリア時代には、家の中にスノードロップを持ち込むことは不吉とされ、病院に持ち込むことも避けられていました。
このため、今でもスノードロップを摘み取らないようにしたり、室内に持ち込むことを避ける人もいるそうです。
こんな伝説もあります
このビクトリア朝時代には、2人の恋人とその不滅の愛にまつわる悲劇的な伝説があります。
美しい女性ケマが、ある日亡くなった恋人を発見します。
悲しみと絶望に打ちひしがれた彼女は、スノードロップの茎を一本摘み、彼の胸にそっと置きました。
奇跡が起こることを期待して待っていましたが、花は次第に氷のように冷たいスノードロップへと変わってしまいました。
こんなお話が、スノードロップが「死の象徴」として結び付けられるようになったんですね。
スノードロップの花言葉は怖くない
スノードロップの花言葉
スノードロップのポジティブな花言葉は
希望
慰め
純潔
希望の灯火
代表的なものから少し珍しいものまで、スノードロップの花言葉とその由来について説明します。
希望
スノードロップの最もよく知られた花言葉は「希望」です。
スノードロップは、寒い冬の終わりに雪をかき分けて最初に咲く花であり、その姿から「春の訪れ」を感じさせます。
まだ寒さの残る時期に咲くことから、暗い冬の中に差し込む希望の光のように感じられるため、この花言葉が生まれました。
慰め
「慰め」もスノードロップの花言葉の一つです。
スノードロップが雪の中でひっそりと咲く様子は、悲しみや寂しさの中にそっと寄り添ってくれるような印象を与えます。
古くから、冬の寒さや暗さを和らげる花として愛されてきたことが、この花言葉の由来となっています。
純潔
スノードロップの白くて小さな花は、「純潔」を象徴しています。
この花言葉は、スノードロップの真っ白な花びらが汚れのない純粋さを連想させるために生まれました。
また、早春に一番に咲くことから、何も染まっていない新しい始まりをイメージさせることも、「純潔」という花言葉の由来です。
希望の灯火
「希望の灯火」という花言葉もスノードロップに関連しています。
これは、スノードロップが冬の終わりに咲き、長い冬に耐えてきた人々に新しい季節の訪れを知らせてくれることからきています。
スノードロップが寒い季節の中で一筋の希望の光のように感じられることが、この花言葉の背景にあります。
スノードロップの豆知識
スノードロップにはまだあまり知られていない興味深い豆知識がたくさんあります。
毒にもなるが薬にもなる
球根や葉には「ガランタミン」と「リコリン」という有毒成分が含まれています。
これらの物質は摂取すると、吐き気や下痢、腹痛などの中毒症状を引き起こす可能性があります。
特に球根部分に毒が集中しており、間違えて食べてしまうとより強い中毒症状が現れることがあります。
しかし、ガランタミンは少量であれば医療目的で使用され、風邪や痛みを和らげるためにも利用されていました。
また、アルツハイマー病の治療薬としても利用されることがあります。
自分で熱を作り出す
スノードロップは寒い冬の時期に咲くため、他の花とは少し違った特徴を持っています。
なんと、スノードロップは自分で熱を作り出すことができるのです。
この性質を「サーモジェネシス」といいます。
スノードロップが自分の周りの温度を上げることで、雪を溶かし、寒さから花を守ることができるのです。
だからこそ、厳しい冬でも雪の中から顔を出すことができるのです。
「キャンドルマス・ベル」としても知られている
スノードロップは「キャンドルマス・ベル」という別名でも知られています。
キャンドルマスはキリスト教の祝日で、2月2日に行われます。
この頃にスノードロップが咲くため、ヨーロッパではこの花をキャンドルマスの象徴として扱うことが多いのです。
このため、スノードロップは「冬の終わりと春の始まり」を告げる花として愛されています。
花の形がイヤリングに似ている
スノードロップの花がうつむいて咲く様子は、まるでイヤリングのように見えます。
実際、スノードロップの英語名「Snowdrop」の「ドロップ(drop)」は、「雪のしずく」ではなく、昔のイヤリングである「イヤードロップ」から来ているのです。
スノードロップの花の形が、このような美しいアクセサリーに例えられるのも興味深いですね。
「眠りを呼ぶ香り」を持つ
スノードロップの花にはほのかな香りがあります。
この香りにはリラックス効果があるとされ、古くから「眠りを呼ぶ香り」として知られていました。
特に、夜にその香りを嗅ぐと安らかな眠りにつくことができると信じられていたそうです。
そのため、スノードロップが咲いている場所では、春先に穏やかな眠りを得られると考えられていました。
種子はアリによって運ばれる
スノードロップの種にはエライオソームという脂肪分を含む部分がついています。
この部分はアリにとって栄養が豊富であり、アリはスノードロップの種を巣まで運び、エライオソームを食べます。
その後、種を巣の外に捨てることでスノードロップの新しい発芽場所を広げる役割を果たしているのです。
このようなアリと植物の共生関係を「ミルメコリー」といいます。
氷点下でも開花できる
スノードロップは他の植物と比べて非常に寒さに強いです。
気温が氷点下になっても花を咲かせることができ、雪が降る中でも開花する姿をよく見かけます。
これは、スノードロップの細胞内に「不凍タンパク質」が含まれているためです。
このタンパク質は氷の結晶が細胞内で成長するのを防ぎ、寒い気温でも花や茎が凍らないようにしているのです。
さまざまな品種がある
スノードロップといえば白い花が一般的ですが、実はスノードロップには約20種類以上の品種が存在します。
例えば、「ガランサス・エルウェシー」という品種は普通のスノードロップよりも花が大きく、花びらに緑色の模様が入っています。
また、「ガランサス・ワロンノウィー」という品種は葉に特徴があり、他のスノードロップよりも早く芽を出すことで知られています。
それぞれの品種は微妙に異なる特徴を持ち、多くの園芸家にとってコレクションの対象となっています。
スノードロップは誕生花
スノードロップは2月の誕生花として知られていて、特にキリスト教の祝日である「キャンドルマス(聖燭祭)」2月2日の誕生日花とされています。
寒い冬の終わりから春の訪れを告げる花であるため、寒さの中で咲くその姿が希望や新しい始まりの象徴とされています。
まとめ:スノードロップの花言葉が怖い 奇跡を信じて彼の胸に置いたのに…
この記事のポイントをまとめます。
- スノードロップは早春に咲く白い小さな花である
- 「待雪草(まつゆきそう)」とも呼ばれ、雪の中で咲く姿が特徴的
- ギリシャ語の学名「Galanthus」は「ミルクの花」を意味する
- キリスト教では、スノードロップはエデンの園から追放されたアダムとイブに希望を与えた花とされる
- 花言葉に「慰霊」や「あなたの死を望みます」があり、怖いと感じる人がいる
- イギリスでは墓地に植えられることが多く、死の前兆とされてきた
- ヴィクトリア時代にはスノードロップを室内に持ち込むことが不吉とされた
- 恋人を失った女性の伝説がスノードロップと「死の象徴」の結びつきを強めた
- 希望や慰め、純潔などポジティブな花言葉も存在する
- 雪をかき分けて咲く姿が「春の訪れ」や「希望」の象徴とされる
- 球根や葉には有毒成分があり、摂取すると中毒症状を引き起こす
- スノードロップは自ら熱を作り出し、雪を溶かして寒さから身を守る
- 別名「キャンドルマス・ベル」とも呼ばれ、2月2日の祝日の象徴である
- 種子はアリによって運ばれ、共生関係を築いている
- 氷点下でも開花できる強い耐寒性を持ち、不凍タンパク質を含んでいる