「星の花が降るころに」という物語を知っていますか?
中学一年生の国語の教科書に載っています。
ここででてくる銀木犀(ギンモクセイ)がちょっとした話題だとか?
星の花が降る=銀木犀の意味
中学生の宿題にもなっているので、参考までにこんなことを書いてみました。
「物語の感想・考察」と「物語の続き」
主な登場人物の性格から、こんな思いでいたのではないか。
さらに、この物語を教科書に載せた意味を解説していきます。
- この物語の考察
- 銀木犀の花言葉の重要な役割
- なぜ、中学生の教科書に載せた?
- 私、戸部くん、夏実の思い
- 「星の花が降るころに」の続きはどうなる
「星の花が降るころに」を考察
「星の花が降るころに」のあらすじ
『星の花が降るころに』は、秋の銀木犀の季節を背景に、中学一年生の「私」が友人・夏実との関係に悩み、成長していく姿を描いた短編小説です。
昨年秋には仲良く一緒に銀木犀を見上げていた「私」と夏実でしたが、時間の経過とともに些細なすれ違いや誤解が積み重なり、次第に距離が生まれてしまいます。
主人公は、再び関係を修復したいと願いつつも、相手に声をかけられず、焦燥感と葛藤を抱えています。
そんな中、学校の友人である戸部君との交流が、主人公に新たな視点をもたらします。
彼との何気ない会話や日常のやりとりから、主人公は自分の悩みや考え方が小さなことに過ぎないと感じ、心が軽くなる瞬間を得ます。
さらに、銀木犀の葉が古いものを落とし、新しいものを生やすことに驚きを覚え、その象徴を通じて成長と変化への気づきを得るのです。
物語の終盤で、主人公は銀木犀の花を手にし、それをぱらぱらと落とします。これは、夏実との過去を手放し、新たな関係や自分の成長を受け入れる決意を象徴しています。
銀木犀を題材にしたのは何故?
『星の花が降るころに』で銀木犀が使われたのは、この木が持つ特別な意味と、秋らしい雰囲気が物語にぴったりだからです。
季節の変化と成長
銀木犀の花は、咲く期間がとても短くすぐに散ってしまいます。
この儚さは、思春期の心の揺れや友だちとの関係が変わりやすいことを表しているんです。
物語の主人公も、自分の気持ちが揺れ動いたり、友だちとすれ違ったりして悩みますが、それもまた成長のひとつです。
古いものを手放し、新しい自分になる
銀木犀の木は、古い葉を落とし新しい葉を生やします。
これと同じように、主人公も昔の気持ちや友だちとの関係を手放し、新しい自分を見つけようとしています。
銀木犀の花を落とす場面では、過去のことを思い切って捨てて、自分の気持ちを新しくする決意が表されています。
「星の花」というロマンチックなイメージ
銀木犀の小さな白い花は、夜空に輝く星のように見えることから、「星の花」とも呼ばれます。
この幻想的なイメージは、悩んでいる主人公にとっての希望の光のようなものです。
銀木犀の花が散る様子は、主人公の心を癒し前に進む勇気を与えてくれる存在として描かれています。
このように、銀木犀はただの背景ではなく、主人公の気持ちの成長や変化を象徴する大切な要素として、物語のテーマを深める役割を果たしています。
銀木犀の花言葉
銀木犀の花言葉には「初恋」「思い出」「真実の愛」といった意味が込められています。
これらの花言葉は、『星の花が降るころに』の物語と深く結びついており、物語のテーマをより明確にしています。
この物語で主人公は、親友の夏実と心がすれ違ってしまったり、友だちとの関係について悩んだりしています。
銀木犀の「思い出」という花言葉は、主人公が過去の楽しい日々を振り返り、今の自分と向き合っていく姿にぴったりです。
また、「初恋」や「真実の愛」という言葉は、主人公が友だちを大切に思う気持ちや、仲直りしたいという素直な気持ちを表しています。
物語の最後で、主人公は銀木犀の花をそっと落とすシーンがあります。
これは、昔の楽しい思い出を大切にしつつも、過去の出来事にこだわりすぎず、今の自分を受け入れて前に進もうという決意を表しているのです。
銀木犀の花が散るように、主人公も古い思いを手放し、新しい一歩を踏み出そうとしています。
作者が伝えたかったこと・・
友だちとの思い出や関係を大切にしながらも、心の成長を通して前向きに進んでいく勇気を持つことの大切さです。
銀木犀の花言葉が示すように、本当の友情や大切な思い出を忘れず、自分を信じて進んでいく力を、この物語は教えてくれています。
登場人物を考察してみましょう!
戸部君
『星の花が降るころに』に登場する戸部君は、穏やかで物静かな性格の持ち主です。
彼は他人を大きく騒がせるようなタイプではなく、自然体でいることを大切にする、心の落ち着いた人物として描かれています。
彼は主人公に対して特別に積極的なアプローチをするわけではありません。
でも、さりげない気遣いや思いやりを見せており、主人公にとって心の支えとなるような存在です。
戸部君の性格
優しく思慮深い:
戸部君は、人の気持ちに寄り添う力を持っています。
主人公が悩んでいることを察して、無理に話を聞き出そうとはせず、さりげない一言や行動で寄り添ってくれる優しさがあります。
自然体でいることを大切にしている:
彼は、周りに流されずに自分らしくいることができる人物です。
そのため、主人公に対しても、彼自身の価値観を押しつけることなく穏やかな態度で接します。
この自然体の姿勢が、悩みやすい主人公にとって安心できる要素となっているのです。
戸部君の主人公への気持ち
戸部君は、主人公を「友人」として大切に思っており、無理に距離を縮めようとはせず、見守るようなスタンスで接しています。
彼が主人公にかける言葉や態度は、特別な親密さを求めるものではなく、相手を尊重し支えたいという自然な気持ちから来ています。
彼は、主人公が抱える友情の悩みについて、直接解決しようとはせず、そばにいて相手が少しでも心の安定を取り戻せるように寄り添っています。
戸部君がもたらす影響
戸部君は、主人公にとって新たな視点を与えてくれる存在です。
主人公が友だち関係で悩んでいる時も、戸部君は無理に「こうしなさい」とは言わず、自分を見つめ直すためのヒントになるような何気ない会話を重ねるだけです。
このような自然体での関わりが、主人公にとっての癒しとなり、成長のきっかけを与えているのです。
戸部君は、主人公が抱える不安や葛藤を直接解決しようとはしないものの、彼の穏やかな態度が主人公に安心感をもたらし、自分の気持ちを整理しやすくさせる重要な役割を担っています。
夏実
物語に登場する夏実は、明るくて社交的な性格を持ち、友人と楽しく過ごすことが好きな人物です。
しかしその一方で、思春期の繊細な感情や不安定さも抱えており、それが主人公との関係にも影響を与えています。
夏実の性格
明るく社交的:
夏実は人懐っこく、友だちといるときにはその場のムードメーカーとなるような明るい性格をしています。
新しい友だちとも積極的に関わり、自分の世界を広げるのが得意で、クラスの中でも人気があります。
感情が豊かで繊細:
明るく見える一方で、夏実は心の中でさまざまな感情を抱えやすく、少し繊細なところもあります。
人間関係においても、自分の気持ちを素直に表現するのが難しく、すれ違いが生じることもあります。
特に、主人公とは長く仲良くしてきたため、近しい関係だからこその葛藤や微妙な距離感があるのです。
少しプライドが高く、傷つきやすい:
夏実は、自分に自信を持っている部分もある一方で、少しのすれ違いや誤解で傷ついてしまうこともあります。
主人公との間で、小さなすれ違いからお互いに距離を感じるようになってしまうのも、こうした性格が関係しています。
夏実の主人公(私)に対する気持ち
夏実は、主人公のことを大切な友だちだと思っており、特別な存在と感じています。
しかし、時間が経つにつれて新しい友だちが増えたり、それぞれの価値観が少しずつ変わったりする中で、どう接していいか分からなくなり複雑な感情が生まれています。
夏実も、以前のような関係に戻りたいと心の中では思っているものの、どう声をかけるべきか分からず、結局距離ができてしまうのです。
夏実が主人公に与える影響
夏実との関係は、主人公にとっても成長のきっかけとなっています。
彼女との距離感やすれ違いが、主人公に「自分にとって本当に大切なものは何か?」と問いかける機会を与え、友だちとどう向き合うべきかを考えさせるきっかけになっています。
物語の中で、夏実の主人公に対する想いはずっと変わらずにありますが、伝え方や接し方がわからないことで、二人の関係はすれ違ってしまいます。
このすれ違いが、思春期の繊細な友情の表現となり、物語のテーマを深めているのです。
主人公「私」
物語の主人公は、思春期の繊細で内向的な面を持ちつつも、友情や人との繋がりを大切にする優しい性格の持ち主です。
彼女は物事をじっくりと考え、自分の心と向き合おうとするタイプで、友人関係に悩んだり、葛藤を抱えたりしながらも、相手を思いやる気持ちを持っています。
主人公「私」の性格
繊細で感受性が豊か:
主人公は、人の気持ちや自分の感情に敏感で、他者との関係や自分の行動について深く考える傾向があります。
そのため、夏実とのすれ違いや戸部君との何気ない会話からも多くを感じ取り、自分の気持ちをじっくり整理しようとします。
感情の動きや、季節の変化に敏感なところもあり、銀木犀の花の儚さや秋の風景に自分の心を重ねて考える繊細さを持っています。
優しく、相手のことを考えるタイプ:
彼女は、友だちを大切に思っていて、友人関係の中でも相手の気持ちに対して配慮を欠かさない人です。
夏実との関係が少しギクシャクしても、自分の感情だけで動くのではなく、相手がどう感じているかも気にかけ、関係を修復したいと思いながらも、その気持ちをうまく表現できずに悩みます。
自分の気持ちに正直でありたいと思っている:
主人公は、自分が感じていることを大切にし、心の成長を求める姿勢があります。
友情に対する思いや、自分がどう人と向き合うべきかをじっくり考え、少しずつ成長しようとしています。
時には戸惑いながらも、新しい自分に近づこうとする意志を持っているのです。
主人公(私)の戸部君に対する気持ち
戸部君に対して主人公は、特別な親しみと安らぎを感じています。
戸部君の穏やかな性格と自然体でいる姿勢に触れることで、自分が悩んでいることや友情への葛藤が少しずつ軽くなるのを感じています。
戸部君が無理に励ましたりアドバイスしたりすることなく、ただそばにいてくれることが、主人公にとって心の支えになっています。
また、戸部君との会話は、主人公にとって大きな癒しとなっています。
戸部君はあまり多くを語らず、相手の心情に寄り添う形で接してくれるため、彼女は安心して自分の心と向き合うことができます。
そのため、彼に対しては友人以上の信頼感を抱いており、自分を理解してくれる大切な存在だと感じているのです。
主人公(私)の夏実に対する気持ち
夏実に対して主人公は、強い友情と少しの憧れを抱いています。
明るく社交的で、クラスの人気者である夏実を「素敵な友だち」と思い、長い間大切にしてきました。
ですが、思春期に入り、それぞれの価値観や新しい友だちとの関係が増えていく中で、少しずつすれ違いが生まれます。
そんな中でも、主人公は「また仲良くなりたい」という気持ちを持ち続けています。
主人公は、夏実との関係がギクシャクした原因について自分を責めることもあり、関係を修復するためにどうすればいいのかと悩んでいます。
それでも、夏実のことを大切に思う気持ちは変わらず、夏実もまた彼女と同じように悩んでいるのではないかと感じています。
主人公にとって夏実は特別な友だちであり、関係が少し変わっても、それを受け入れながらまた新しい形の友情を築いていきたいと心から願っています。
このように、主人公は戸部君と夏実に対してそれぞれ違う形で信頼と友情を感じており、それが彼女の成長や人間関係の在り方に大きな影響を与えています。
『星の花が降るころに』は中学生に何を伝えたかったのか?
『星の花が降るころに』が中学1年生の国語の教科書に載っているのは、多くの中学生が体験する「友情」「成長」「人間関係の変化」といったテーマを感じながら、自分や他人との関係について学んでもらうためです。
その意図を分かりやすく説明します。
思春期の友情や人間関係に向き合うため
中学生は、思春期で友だち関係が変わったり、新しい友だちができたりと、人間関係で悩むことが多い時期です。
この物語の主人公も、親友との関係について悩みながらも自分と向き合い成長していきます。
教科書でこの物語を読むことで、友だちとの関係について深く考え、自分と向き合うきっかけになるでしょう。
自分と向き合い、心を成長させるため
物語では、主人公が友だちとの関係に悩みながらも、その経験を通して少しずつ心を整理し自分を成長させていきます。
この物語を通じて、自分の心の成長や変化に目を向け、悩みやすれ違いも大切な成長のひとつだと感じてもらう意図があります。
中学生の皆さんが、日々の変化や悩みを前向きにとらえ、前に進む力を得るきっかけにしてほしいと考えられています。
自然や季節の変化を感じ取る感性を育てるため
物語では、銀木犀という秋の花が象徴的に登場します。
銀木犀の花が一時的に咲いて散っていく様子は、友情や変化を表しているのです。
物語を通して自然の変化や美しさに気づき、登場人物の心の動きと結びつける力を育てる意図もあります。
自然の風景と登場人物の心情を結びつけることで、感受性が育まれることを期待しています。
読み取る力や考える力を育てるため
この物語には、登場人物の気持ちがあまり直接的に説明されていません。
だからこそ、登場人物の心や成長を自分で想像しながら読み取る力が大切になります。
物語を通して「読み取る力」や「考える力」を身につけ、登場人物の気持ちや、表現に隠された意味を考える力を育ててほしいと考えられています。
このように、『星の花が降るころに』は、思春期の皆さんが自分や他人との関係、季節や自然の美しさ、友だち関係の変化を学ぶために、とても良い教材として教科書に載せられています。
「星の花が降るころに」の続きはこうなる
結末はバッドエンド?
『星の花が降るころに』の結末は、バッドエンドではありません。
むしろ、成長と新たな始まりを示唆する終わり方です。
物語の締めでは、主人公が銀木犀の花をそっと手にし、それを落とすシーンが描かれます。
この場面は、過去の友情の思い出を手放し、未来に向かって歩き出そうとする主人公の決意を表しています。
主人公は、友だちとのすれ違いや自分の心の葛藤に向き合い、それを乗り越える成長を見せています。
物語の中で、夏実と主人公の関係がすぐに元通りになるわけではありませんが、主人公が「前に進む」という決意を固めたことで、前向きな気持ちで終わります。
この終わり方は、友人関係や自分の気持ちに悩みながらも、成長していく思春期の心情を象徴しており、「バッドエンド」というよりも「成長と希望のエンド」と言えるでしょう。
作者がこの物語で伝えたかったのは、変化やすれ違いも人生の一部であり、そこから学び、成長していくことの大切さです。そ
のため、物語の締めはバッドエンドではなく、むしろ前向きで未来を感じさせる結末となっています。
では、『星の花が降るころに』の続きの物語を描いてみましょう。
『星の花が降るころに』の続き・・ その後
銀木犀の花が散ったあの秋の日から、少しずつ季節は冬に向かっていた。
朝晩は冷え込みが増し、冬の気配が感じられるようになった。
私は、少しずつ新しい気持ちで日々を過ごせるようになり、学校生活にも変化が現れてきた。
ある日の放課後、私は久しぶりに夏実と廊下で目が合った。
お互いに少しぎこちない笑みを浮かべながらも、自然に挨拶を交わす。
あの日以来、二人はあまり深く話すことはなかったが、どこか心に少しの距離感を残しながらも、穏やかな雰囲気が漂っていた。
「元気そうでよかった。」私は、心の中でそう呟いた。
夏実もきっと、同じ気持ちだったに違いない。以前のように仲良く過ごす日々は戻らないかもしれないけれど、それでもまた別の形で友だちとして関わっていけるかもしれない、と主人公は思い始めていた。
その日、戸部君がふと私に話しかけてきた。
「ねぇ、今度、みんなでどこかに行こうか?銀木犀が散ってからも、まだ秋の風景を楽しむ場所はたくさんあるから。」
彼の言葉に、私の胸が温かくなる。
戸部君のさりげない誘いが、少し寂しかった心を満たしてくれるように感じた。
翌週末、私、戸部君、そしてクラスの数人が集まって近くの公園に出かけることになった。
公園の木々は赤や黄色に色づき、少し冷たい風が吹いていたが、澄んだ空気が心を落ち着かせてくれた。
夏実も、ひょっこり顔を出していて、ぎこちないながらも一緒に公園を歩く。
自然の中で過ごす時間は、言葉ではうまく伝えられない感情を少しずつ和らげ、無理に話すことなく互いの存在を感じることができた。
私は、「銀木犀が散ったあとにも、こんなふうに大切な時間が続いていくんだ」と実感した。
やがて、冬が訪れ、季節がまた巡る頃には、夏実との関係も自然と以前の気まずさが薄らぎ、別の形で築かれていった。
そして、私もまた新しい自分に少しずつ自信を持てるようになっていた。
銀木犀の香りが消えた後も、彼女にとって「星の花」は心に残り続け、その思い出は、新しい友情や成長の礎となった。
あなたなりの『星の花が降るころに』の続きを考えてみましょう!