オオイヌノフグリ。
春の野原でよく見かける小さな青い花ですが、その花言葉に「怖さ」を感じる人もいるようです。
可憐な姿とは裏腹に「不吉な小さな植物」として語られることもあり、一部の伝承では不吉なイメージがつけられているとか?
しかし、この花には「神聖」や「忠実」「小さな幸せ」など、美しい意味を持つ花言葉もあります。
名前の由来が、タマタマ似てるからと付けられ少し残念なものの、オオイヌノフグリには知れば知るほど魅力が詰まっています。
この記事では、オオイヌノフグリの花言葉やその背景について詳しく解説します。
「オオイヌノフグリ」とかけまして
「忠実」ととく
その心は?
いつも足元で「寄り添って」います
う~んイマイチ
- オオイヌノフグリの花言葉には「不吉」とされる理由がある
- オオイヌノフグリには「神聖」「忠実」「小さな幸せ」など前向きな花言葉もある
- 残念な名前の由来や花の持つ歴史的背景について知ることができる
- 花の特徴や伝承から生まれた花言葉の意味について理解できる
オオイヌノフグリの花言葉が怖い?
花言葉が怖い理由
オオイヌノフグリの花言葉は一見、美しいものが多いですが、「怖い」と感じる人もいるようです。
その理由にはいくつかの要素が関係していると考えられます。
花言葉や外観、伝説などを通して、その理由を探ってみましょう。
「別れ」という花言葉
オオイヌノフグリの花言葉の一つに「別れ」があります。
春の初めに咲いて、暖かくなるとすぐに散ってしまうオオイヌノフグリは、短い命のはかなさを感じさせます。
その姿から、春の出会いと別れを表しているとも言われています。
この「別れ」という花言葉は、儚さや切なさを連想させるため、どこか怖いと感じられるのかもしれません。
が!怖くはないですよね~
ジェフリー・グリグソン
もう一つ紹介しましょう。
ある人の手記で、スピードウェルはオオイヌノフグリのことです。
ジェフリー・グリグソンの『 英国人の植物相』 (1955年)を読み始めました。
残念ながら、グリグソンはこの美しい植物についてあまり良いことを言っていません。
グリグソンが説明するさまざまな民間伝承の中には、スピードウェルを摘むと鳥に目を突かれると言われ、ドイツではスピードウェルを摘むと嵐が起こると言われていると書かれています。
最後に、グリグソンは、スピードウェルを「不吉な小さな植物」とだけ説明しています。
どうでしょう?怖いですか?
オオイヌノフグリの花言葉は怖くない
オオイヌノフグリの花言葉
オオイヌノフグリの花言葉は
誠実
神聖
小さな幸せ
別れ
忠実
それぞれの花言葉には、この小さな青い花の特徴や印象からつけられた意味が込められています。
ここでは、代表的なものから珍しいものまで、その花言葉と由来を紹介します。
「信頼」
この花言葉が最もよく知られています。
オオイヌノフグリは寒い冬が終わり、春の訪れを教えてくれる花です。
厳しい冬を越えて芽を出し、青い花を咲かせる姿が、人々に「春は必ずやってくる」という安心感を与えてくれます。
そのため、「信頼」という花言葉が生まれたと考えられます。
「神聖」
オオイヌノフグリの美しい青い花は、空の色や海の色を思わせます。
この深い青色は、昔から神聖で清らかなものとされてきました。
そのため、この花には「神聖」という花言葉が付けられています。
また、小さな花が一斉に咲く様子は、自然の神秘を感じさせるため、この花言葉がぴったりと言えるでしょう。
「忠実」
オオイヌノフグリは、毎年春になると必ず花を咲かせます。
このように季節が巡るたびに変わらずに咲くことから、「忠実」という花言葉がつけられました。
いつも同じ場所で春を迎え、淡々と花を咲かせる姿は、まるで何かに一途に尽くしているように見えるためです。
「小さな幸せ」
オオイヌノフグリは、とても小さな花ですが、青い花がたくさん集まって咲く姿はとても可愛らしく見ているだけで心がほっとします。
道ばたや庭先で見かけるこの花を見つけたときの、ちょっとした喜びから「小さな幸せ」という花言葉が生まれたと言われています。
何気ない日常の中にも、幸せがあるという意味が込められています。
「別れ」
あまり知られていない花言葉ですが、「別れ」という意味もあります。
オオイヌノフグリの花は、春の初めに咲き、暖かくなると散っていきます。
そのはかなさから、春の訪れと共に去っていくもの、または出会いと別れの季節を連想させることが由来とされています。
この花言葉には、どこか切なさが感じられますね。
「愛らしさ」
オオイヌノフグリの青い花はとても小さく、かわいらしい印象を与えます。
道ばたに咲いている姿を見ると、思わず足を止めたくなるほどです。
そんな花の見た目から、「愛らしさ」という花言葉も付けられました。この花言葉は、花の姿そのものを表していると言えます。
オオイヌノフグリの花言葉には、この花が持つ自然な美しさや小さな喜びがよく表れています。
それぞれの花言葉を知ると、花を見つけたときの感じ方が少し変わってくるかもしれません。
これらの花言葉には、オオイヌノフグリの小さくても心に残る姿や、春を感じさせる雰囲気がしっかりと表れています。
花を見つけたとき、どの花言葉がぴったりくるか、想像してみるのも楽しいかもしれません。
名前の由来が気の毒
オオイヌノフグリの学名は「Veronica persica」です。
キリスト教の伝説に登場する聖女「ベロニカ」に由来しています。
ベロニカは、イエス・キリストが十字架を背負って歩いているときに、顔を拭いてあげたとされ、その布にキリストの顔がくっきりと映し出されたという話から名付けられたと言われています。
花の姿がどこか神聖で美しいため、ベロニカという名前が使われたのでしょう。
「persica」は「ペルシャ(現在のイラン)」を意味し、この植物がもともとペルシャの辺りで見つかったことに由来しています。
オオイヌノフグリには別名もいくつかあります。
英語では「Bird’s-eye Speedwell」や「Common Field Speedwell」と呼ばれています。
鳥の目のような青い花の色や形から「Bird’s-eye(鳥の目)」。
また、日本では「天人唐草(てんにんからくさ)」という名前で呼ばれることもあります。
さて、日本名の「オオイヌノフグリ」ですが、これはちょっとかわいそうで不憫な名前の由来です。
「オオイヌノフグリ」は「大きな犬のふぐり」、つまり犬のオスの「タマタマ」を指す言葉です。
この名前が付けられた理由は、オオイヌノフグリの実の形が、犬のふぐり(睾丸)に似ているからだと言われています。
考えてみてください。
可愛らしい青い花を咲かせるこの植物が、「春の妖精」や「青空の宝石」なんて素敵な名前を期待していたら、実際に付けられたのが「オオイヌノフグリ」って!
きっと花自身も、「なんでそんな名前に…」とショックを受けたかもしれません。
それでも、春の野原で元気に咲く姿を見ると「名前なんかに負けないぞ!」というけなげさが感じられるかもしれませんね。
オオイヌノフグリの豆知識
花はたった1日しか咲かない
オオイヌノフグリの花はとても美しいですが、実は1つの花が咲いているのはたった1日だけです。
朝に花が開き、夕方にはしぼんでしまうという儚さがあります。
しかし、次の日にはまた新しい花が咲きます。
このように、短いサイクルで次々と花を咲かせることで、春の間ずっと青い花を楽しむことができるのです。
また、天気が悪くなると閉じる性質があります。
雨や曇りの日には、花びらを閉じて自分を守るのです。これは、花粉を雨で流されないようにするためだと考えられています。
実は外来種
オオイヌノフグリは、もともとはヨーロッパや西アジアが原産地です。
日本に入ってきたのは明治時代と言われています。
今では日本全国で見られるため、まるで日本の野草のように感じますが、実は外来種なのです。
庭や道ばたでよく見かけるので、知らない人も多いかもしれません。
実は食べられる
あまり知られていませんが、オオイヌノフグリは食べることができます。
葉や花をサラダに入れたり、お茶にして飲んだりすることもあります。
味はほんのり苦く、さわやかな風味があると言われています。
特に、ミネラルやビタミン、抗酸化物質が豊富で、昔のヨーロッパでは薬草として使われていたこともあります。
花びらは4枚でも、実際は?
オオイヌノフグリの花びらは4枚に見えますが、実はこのうちの1枚は「花弁」ではなく「がく片」と呼ばれる部分です。
がく片は本来、花のつぼみを包む役割を持っていますが、まるで花びらのように見えるため4枚の花びらを持っているように見えます。
こうした細かい構造の違いは、じっくり観察してみないと気づかないので、植物の不思議さを感じるポイントです。
ハチなどの訪花者を待たない自己受粉
オオイヌノフグリは、ハチなどの昆虫に頼らなくても自分で受粉する「自己受粉」の能力を持っています。
花が開いてからしばらくすると、雄しべと雌しべが自然に接触して受粉が行われます。
この仕組みのおかげで、昆虫が少ない時期でも種を作り増えることができるのです。
小さくて可憐な花ですが、しっかりとした生きる知恵を持っています。
名前の「オオ」の意味
「オオイヌノフグリ」の「オオ」は「大きい」という意味ですが、実際の花はとても小さく、1センチほどの大きさです。
なぜ「大きい」という名前が付いたかというと、もともと日本には「イヌノフグリ」というさらに小さな花の植物があったからです。
オオイヌノフグリが後から日本に入ってきたとき、「イヌノフグリ」よりも少しだけ大きかったため、「オオイヌノフグリ」と呼ばれるようになったのです。
ちょっとした違いが名前の由来になっているなんて、植物の世界も面白いですね。
オオイヌノフグリには、知られざる魅力がたくさん詰まっています。こうした豆知識を知ると、普段見かける小さな青い花が少し特別に感じられるかもしれませんね。
まとめ:オオイヌノフグリの花言葉が怖い タマタマ犬のアレに似てるからって気の毒な名前
この記事のポイントをまとめます。
- オオイヌノフグリの花言葉に「別れ」があり、儚さを感じさせるため怖いと感じる人もいる
- グリグソンの著書では、スピードウェルを不吉な植物として描かれている
- オオイヌノフグリの花言葉には「信頼」があり、春の訪れを告げる花である
- 「神聖」という花言葉は、美しい青い花が空や海を連想させるため
- 「忠実」という花言葉は、毎年必ず咲く姿に由来している
- 「小さな幸せ」という花言葉は、青い花の可愛らしい姿から生まれた
- 春の初めに咲いてすぐに散るため「別れ」という花言葉もある
- オオイヌノフグリの花言葉には、その小さく愛らしい姿が反映されている
- 日本名「オオイヌノフグリ」の由来は実の形が犬のふぐりに似ているため
- 学名「Veronica persica」は聖女ベロニカとペルシャに由来する
- 英語では「Bird’s-eye Speedwell」などの美しい名前が付けられている
- オオイヌノフグリの花は1日しか咲かないが次々と新しい花が咲く
- オオイヌノフグリは外来種で、明治時代に日本に入ってきた
- 葉や花は食べることができ、薬草として使われていた歴史がある
- 「オオ」は「イヌノフグリ」より少し大きかったため付けられた